ソリューションのストーリーを決める
プランニング
クライアントがソリューションを効果的にするための最高の情報を持っているのであれば、開発者はそれを解決するためのコストに関する最高の情報を持っています。この情報とは、機能を実装して維持するのにいくらかかるのかということです。クライアントと一緒に何をどのようにすればいいのかを議論し、最小限のコストで最大の成果を出せるようなストーリーを計画していきます。この計画は大小様々であり、クライアントの求めるものによって変わってきます。この段階でアウトプットされる情報ととしては、次のようなものがあります。
- 全体像が把握できるツリー構造図
- ユーザーエクスペリエンス設計図
- ユーザーナビゲーション設計図
- ロードマップ計画

ツリー構造図
情報システムを計画して、それを現実に運用できるように落とし込む場合、何かと想定外の問題が起こるものです。まずはクライアントが機能を俯瞰して見える状態にするために、ツリー構造図を作成します。これにより、問題点を発見しやすくなり、クライアントと具体的な話し合いができるようになります。

ユーザーエクスペリエンス設計図
ユーザーエクスペリエンスとは、情報システムを使う人の満足体験のことをいいます。ソリューションによって業務が難しくなっては意味がありません。運用する人々がどのようにシステムを使っていくかを考えて、最適な「体験」を設計していきます。これはクライアントが扱う商品によって大きく異なります。例えば、レストランが顧客に提供する「料理」という商品と、不動産業が提供する「家」という商品では、まったく違った体験になります。情報システムで管理する商品がどのような特性もっているかを洗い出し、最適な体験構造を設計します。前述のフローチャートに基づき、システムの始めと終わりを定義して、その間を補完しながら体験を組み合わせていきます。データの追加や閲覧、検索、帳票の出力など、各ページに必要な機能と役割を設定し、情報の流れを設計することで、システムの構造が見えるようになります。

ユーザーナビゲーション設計図
企業が持つ情報は、各セクション毎にもつ横方向の情報と、役職などのポジションによって異なる、縦方向の情報とがあります。情報システムは、これらの情報に素早く、最適なタイミングでアクセスできなければなりません。一つ一つの情報にアクセスする都度、時間がかかっているようではITとは言えません。企業がもつ情報にどのようにアクセスしていくかのナビゲーションを設計し、いうなれば「システムの使い勝手」を構築していきます。このユーザーナビゲーション設計と前述のユーザーエクスペリエンス設計の結果こそが、情報システムの外観であり、ソリューションの目に見える形になります。

ロードマップ計画
ロードマップとはいわば予算計画のことです。プロジェクトのゴールにたどり着くまでにどのようなストーリーを踏むのかの計画を策定します。プロジェクトを確実に実行できる単位で分け、それぞれのコストを明記します。これをマイルストーンといい、プロジェクトにかかる費用を段階的に設定することで、予算面での実施可否を検証することができます。